
親が年齢を重ねてくると、ふと気になるのが「相続」のこと。
「まだ元気なのに、相続の話をするのはちょっと……」
そう思ってしまうのも無理はありません。
でも、いざ相続が始まってから、
「銀行口座はどこにあるんだろう?」
「生命保険には入っていたのかな?」
「不動産はどこまで持っているんだろう?」
と調べ始めると、残された家族に大きな負担がかかります。
相続について難しい法律や税金をすべて理解する必要はありません。
まずは、親が元気なうちに「どんな財産があるのか」を確認しておくこと。
これだけでも、いざというときの負担をかなり減らせます。
今回は、私自身が相続について調べる中で「これは早めに確認しておいたほうがいいな」と感じたポイントを、できるだけ分かりやすくまとめました。
相続の準備は「亡くなってから」では遅い?
相続というと、亡くなった後に始まるものというイメージがあります。
もちろん、正式な相続手続きが始まるのは亡くなった後です。
ただ、そのときになってから財産を探し始めると、家族はかなり大変です。
例えば、
- 銀行口座
- 証券会社の口座
- 生命保険
- 不動産
- 車などの財産
- 借入金
- クレジットカード
- ネット銀行
- サブスクリプション
などを確認する必要があります。
しかも、本人しか知らない口座やサービスがあると、家族だけでは見つけにくいこともあります。
だからこそ、相続については**「亡くなってから考える」のではなく、元気なうちから少しずつ準備しておく**ことが大切です。
まず確認したいのは「財産がいくらあるか」より「何があるか」
相続の準備というと、
「総額でいくらあるの?」
と金額を知りたくなります。
もちろん金額も重要ですが、最初から細かい金額まで把握する必要はありません。
まずは、
「どこに、どんな財産があるのか」
を知っておくだけでも十分役に立ちます。
例えば、
預貯金
- ○○銀行
- △△銀行
- ゆうちょ銀行
など、利用している金融機関を一覧にしておきます。
口座番号や暗証番号まで家族に伝える必要があるとは限りません。
まずは「この銀行に口座がある」という情報だけでも、後の調査がかなり楽になります。
証券・投資信託
株式や投資信託などを保有している場合は、証券会社や利用している金融サービスを確認しておきます。
ネット証券の場合、家族が存在そのものを知らないと見つけるのが難しくなることがあります。
生命保険
生命保険に加入している場合は、
- 保険会社
- 保険の種類
- 保険証券などの保管場所
を確認しておくと安心です。
保険は銀行口座とは別に手続きが必要になる場合があるため、「保険に入っているかどうか」を知っておくだけでも違います。
不動産
自宅や土地、賃貸物件などの不動産を所有している場合は、その存在を家族が把握しておきたいところです。
固定資産税の通知書など、不動産を確認する手がかりになる書類の保管場所も分かるようにしておくと便利です。
借入金やローン
相続では、預貯金や不動産などのプラスの財産だけでなく、借入金などのマイナスの財産も確認する必要があります。
「財産」と聞くと貯金や土地ばかり考えてしまいますが、借金などがないかも確認しておきたいポイントです。
エンディングノートは「財産目録」だけじゃない
財産を整理する方法として、エンディングノートを利用する方法もあります。
エンディングノートなら、
- 銀行
- 証券会社
- 保険
- 不動産
- クレジットカード
- デジタルサービス
- 連絡してほしい人
- 葬儀についての希望
などをまとめておくことができます。
ただし、エンディングノートは基本的に遺言書とは違います。
「この財産を誰に相続させる」といった法的な効力を持たせたい場合は、遺言書など別の手続きが必要になります。
そのため、エンディングノートは、
「家族が困らないように情報を残しておくもの」
と考えると分かりやすいでしょう。
デジタル財産も忘れない
最近は、昔ながらの通帳や保険証券だけではありません。
スマートフォンやインターネットの中にも、重要な情報が入っています。
例えば、
- ネット銀行
- ネット証券
- 電子マネー
- 有料アプリ
- 動画配信サービス
- 音楽配信サービス
- クラウドサービス
などです。
特にサブスクリプションサービスは、本人が亡くなった後も契約が自動的に終了するとは限りません。
そのため、
「どんなサービスを契約しているのか」
だけでも一覧にしておくと、家族が確認しやすくなります。
パスワードについては、単純にノートへ書いて保管するのではなく、安全な管理方法を考えることも大切です。
親に相続の話をするときは「財産を教えて」から始めなくてもいい
ここが、実際には一番難しいところかもしれません。
親に、
「相続のために財産を全部教えて」
と言うのは、なかなか言いづらいものです。
親からしても、
「まだ元気なのに、もう死ぬと思っているのか?」
と感じてしまうかもしれません。
そんなときは、いきなり金額を聞くのではなく、
「もし何かあったとき、銀行とか保険がどこにあるか分からないと困るよね」
くらいの話から始める方法もあります。
まずは、
「何がどこにあるのかだけ教えてほしい」
というところから始めてもいいでしょう。
相続の準備は、一日ですべて終わらせる必要はありません。
亡くなった後の相続手続きには期限がある
では、実際に相続が始まったら、どのような手続きがあるのでしょうか。
すべてのケースで同じ手続きが必要になるわけではありませんが、代表的なものを時系列で見てみます。
死亡後7日以内|死亡届
死亡したことを知った日から7日以内に、原則として死亡届を提出します。
葬儀などの準備もこの時期に行われるため、家族にとって非常に忙しい時期です。
できるだけ早く|遺言書や財産を確認
まず確認したいのが、
「遺言書があるか」
ということです。
同時に、預貯金、証券、保険、不動産、借入金などの財産についても調べていきます。
生前に財産の一覧を作ってあれば、この作業をかなり進めやすくできます。
死亡を知った日から3か月以内|相続放棄・限定承認
相続では、財産をそのまま引き継ぐ「単純承認」だけでなく、「相続放棄」や「限定承認」という選択肢があります。
特に相続放棄には原則として期限があり、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に家庭裁判所へ申述する必要があります。
借金などのマイナスの財産がある場合には、早めの確認が重要です。
死亡した人に確定申告が必要な場合|4か月以内
亡くなった人について確定申告が必要になる場合があります。
これを「準確定申告」といいます。
原則として、相続人が死亡を知った日の翌日から4か月以内に申告・納税を行います。
ただし、すべての人に準確定申告が必要になるわけではありません。
死亡を知った日の翌日から10か月以内|相続税
相続税については、すべての相続で発生するわけではありません。
相続税には基礎控除があり、課税される遺産の総額が基礎控除額を超える場合などに申告・納税が必要になります。
相続税の申告・納税が必要な場合は、原則として相続の開始を知った日の翌日から10か月以内です。
「10か月あるからまだ大丈夫」と思っていると、財産調査や遺産分割などに時間がかかってしまうこともあります。
早めに財産を把握しておくことが大切です。
相続登記にも期限がある
不動産を相続した場合には、「相続登記」についても注意が必要です。
2024年4月から相続登記が義務化され、原則として、相続によって不動産を取得したことを知った日から3年以内に相続登記の申請が必要です。
相続税の「10か月」と相続登記の「3年」は別の期限なので、混同しないようにしましょう。
相続の準備は「完璧にする」必要はない
ここまで書くと、
「相続って、やることが多すぎる……」
と思ってしまうかもしれません。
私も相続について調べ始めたときは、そう感じました。
でも、生前にできる準備は意外とシンプルです。
まずは、
① 銀行口座を確認する
② 証券会社や保険を確認する
③ 不動産があるか確認する
④ 借入金などがないか確認する
⑤ ネット銀行やサブスクなどのデジタル情報を整理する
このあたりから始めれば十分です。
最初から完璧な財産目録を作ろうとすると、逆に面倒になってしまいます。
「とりあえず、どこに何があるか分かるようにする」
くらいの気持ちで始めてもいいと思います。
まとめ|相続の準備は「財産を探す」ことから始めよう
相続は、亡くなった後に突然始まるように感じます。
しかし、家族が困らないための準備は、本人が元気なうちから始めることができます。
特に大切なのは、
「どこに、どんな財産があるのか」
を家族が確認できる状態にしておくことです。
銀行、証券、保険、不動産、借入金、ネットサービスなどを一つずつ整理しておけば、いざというときの財産調査がかなり楽になります。
そして、相続放棄の3か月、準確定申告の4か月、相続税の10か月、相続登記の3年など、手続きによって期限が違うことも覚えておきたいところです。
「まだ元気だから、相続の話は早い」
と思うかもしれません。
でも、元気なうちだからこそ、落ち着いて話せることもあります。
まずは家族で、
「何かあったときに困らないように、銀行や保険がどこにあるかだけ確認しておこう」
くらいのところから始めてみてはいかがでしょうか。

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