
電気に関する資格の勉強を始めると、最初につまずきやすいのが電気回路の計算です。
電圧・電流・抵抗といった基本的な用語から、直列回路や並列回路、交流回路、電力や電力量の計算まで、覚える公式がたくさんあります。
しかし、これらの知識は特定の資格だけに必要なものではありません。
工事担任者、第二種電気工事士、第一種電気工事士、電験三種など、さまざまな電気系資格の学習に共通する基礎知識です。
この記事では、電気の資格試験でよく使われる基本公式と計算方法を、初心者にもわかりやすいように整理しました。
単に公式を暗記するだけでなく、具体的な数字を使った計算例も紹介します。
電気の勉強を始めたばかりの方はもちろん、試験前に公式を復習したい方も、ぜひ参考にしてください。
この記事で学べること
- オームの法則と電圧・電流・抵抗の関係
- 直列回路・並列回路の合成抵抗
- 分圧と分流の計算方法
- キルヒホッフの法則
- 電力と電力量の計算
- 電池の内部抵抗
- 交流回路のリアクタンスとインピーダンス
- 試験で間違えやすいポイント
計算が苦手な人も、まずは基本公式から一つずつ確認していきましょう。
電気回路の試験で押さえておきたいポイント
電気回路の問題では、主に次のような内容が問われます。
| 分野 | 主な学習内容 |
|---|---|
| オームの法則 | 電圧・電流・抵抗の計算 |
| 合成抵抗 | 直列・並列回路の計算 |
| 分圧・分流 | 回路の一部分にかかる電圧や電流 |
| キルヒホッフの法則 | 電流則・電圧則 |
| 電力・電力量 | 消費電力や使用電力量 |
| 内部抵抗 | 起電力と端子電圧 |
| 交流回路 | リアクタンス・インピーダンス・共振 |
最初からすべてを完璧に理解する必要はありません。
まずはオームの法則と合成抵抗を理解し、その後に分圧・分流、交流回路へと進むのがおすすめです。
オームの法則
電気回路の基本となるのがオームの法則です。
電圧・電流・抵抗の関係を表す公式で、さまざまな計算問題の出発点になります。
覚えておきたい公式
オームの法則

- V:電圧[V・ボルト]
- I:電流[A・アンペア]
- R:抵抗[Ω・オーム]
この公式を変形すると、電流と抵抗も求められます。
電流

抵抗

問題で何を求められているかによって、使う式を選びましょう。
計算例1:電流を求める

試験で注意するポイント
電流の単位にはAだけでなくmAが使われることがあります。
1A=1000mA
例えば、100mAは0.1Aです。
計算するときは、単位をそろえる習慣をつけましょう。
合成抵抗(直列回路・並列回路)
電気回路の計算で重要なのが合成抵抗です。
抵抗を複数接続したとき、全体として一つの抵抗に置き換えた値を合成抵抗といいます。
直列回路と並列回路では計算方法が異なります。
直列回路の合成抵抗
直列回路は、抵抗をそのまま足し算します。
公式

直列回路では、抵抗を追加するほど全体の抵抗が大きくなります。
並列回路の合成抵抗
並列回路では、抵抗の逆数を足し合わせます。
公式

抵抗が2本の場合は、次の公式を使うと計算が簡単です。

この計算方法は「和分の積」と呼ばれます。
計算例2:並列回路の合成抵抗
問題
30Ωと60Ωの抵抗を並列に接続した。合成抵抗はいくらか。
解き方

答え:20Ω
ここで覚えておきたいのが、並列回路の合成抵抗は、必ず最も小さい抵抗より小さくなるということです。
今回の場合、30Ωと60Ωを並列にした結果は20Ωです。
もし計算結果が30Ωより大きくなったら、計算を見直しましょう。
直列と並列が混在する回路
試験では、直列と並列が組み合わされた回路も出題されます。
この場合は、まず並列部分や直列部分など、簡単に計算できる部分から順番に整理していきます。
計算例3:直並列回路
問題
30Ωと60Ωを並列に接続したものに、10Ωの抵抗を直列につないだ。
全体の合成抵抗と、12Vの電圧を加えたときの電流を求めなさい。
解き方
① まず並列部分を計算します。

② 次に10Ωを直列に加えます。

③ オームの法則で電流を求めます。

答え
- 合成抵抗:30Ω
- 電流:0.4A
直列と並列が混在する問題では、内側の回路から順番に合成抵抗を求めることがポイントです。
分圧と分流
分圧と分流は、回路の一部分にかかる電圧や流れる電流を求める計算です。
名前が似ていますが、直列回路と並列回路で使い分けます。
分圧(直列回路)
直列回路では、抵抗の大きさに比例して電圧が分かれます。
公式

- V:全体の電圧
- R₁:求めたい抵抗
- R₂:もう一方の抵抗
抵抗が大きいほど、その抵抗にかかる電圧も大きくなります。
計算例4:分圧
問題
100Vの電源に40Ωと60Ωの抵抗を直列に接続した。60Ωの抵抗にかかる電圧はいくらか。
解き方
① 全体の合成抵抗を求める

② 回路に流れる電流を求める

③ 60Ωの抵抗にかかる電圧を求める

答え:60V
ちなみに、40Ω側には40Vがかかります。
両方の電圧を足すと100Vになることも確認しておきましょう。
分流(並列回路)
並列回路では、全体の電流が各抵抗に分かれて流れます。
2本の抵抗の場合、次の公式を使います。
公式

- I:全体の電流
- R₁:求めたい電流が流れる抵抗
- R₂:もう一方の抵抗
ここで注意したいのが、分子には求めたい抵抗ではなく、反対側の抵抗を入れることです。
抵抗が小さいほうに、より多くの電流が流れるという性質を覚えておきましょう。
キルヒホッフの法則
キルヒホッフの法則は、複数の電流や電圧が関係する回路を理解するための基本法則です。
試験では、第1法則と第2法則の意味を区別して覚えておきましょう。
| 法則 | 内容 |
|---|---|
| 第1法則(電流則) | 接続点に流れ込む電流の和と、流れ出る電流の和は等しい |
| 第2法則(電圧則) | 閉回路を一巡したとき、起電力の和と電圧降下の和は等しい |
第1法則:電流則
回路の接続点(節点)に流れ込む電流の合計は、流れ出る電流の合計と等しくなります。
例えば、接続点に3Aと2Aの電流が流れ込み、別の方向へ電流が流れ出る場合、その電流は5Aです。

第2法則:電圧則
閉回路を一周すると、起電力と電圧降下の関係が成り立ちます。
電源から供給される電圧は、回路内の各部分で消費される電圧降下の合計と等しくなります。

覚え方
- 第1法則=電流=接続点(節点)
- 第2法則=電圧=閉回路
この組み合わせを覚えておくと、選択問題でも迷いにくくなります。
電力と電力量
電力は、電気がどれだけの仕事をするかを表す値です。
電気回路の計算では、次の3つの公式を覚えておきましょう。
電力の公式
電力の公式①

電力の公式②

電力の公式③

- P:電力[W・ワット]
- V:電圧[V]
- I:電流[A]
- R:抵抗[Ω]
問題で与えられている数値に合わせて、使う公式を選びます。
| 与えられている値 | 使用する公式 |
|---|---|
| 電圧と電流 | P=VI |
| 電流と抵抗 | P=I²R |
| 電圧と抵抗 | P=V²/R |
計算例5:消費電力
問題
抵抗20Ωに2Aの電流が流れている。消費電力はいくらか。
解き方
電流と抵抗が与えられているので、次の公式を使います。


答え:80W
電力量の計算
電力量は、電力と使用時間を掛け合わせて求めます。

- W:電力量[Wh(ワット時)]
- P:電力[W・ワット]
- t:時間[h(時間)]
例えば、1kWの電気製品を3時間使用した場合、

電力量は3kWhです。
電力の単位はW、電力量の単位はWhやkWhになることを区別して覚えましょう。
電池の内部抵抗
電池には、外部から見えない内部抵抗があります。
そのため、電池の起電力と、実際に外部回路に取り出せる端子電圧は異なる場合があります。
内部抵抗の公式
電池の起電力をE、内部抵抗をr、外部抵抗をRとすると、
電流

端子電圧は次の式で求められます。
端子電圧

- E:起電力[V]
- r:内部抵抗[Ω]
- R:外部抵抗[Ω]
- I:電流[A]
- V:端子電圧[V]
計算例6:内部抵抗
問題
起電力12V、内部抵抗0.5Ωの電池に、5.5Ωの負荷を接続した。
電流と端子電圧を求めなさい。
解き方
① 回路に流れる電流を求める

② 端子電圧を求めます。

答え
- 電流:2A
- 端子電圧:11V
起電力は12Vですが、内部抵抗によって1Vの電圧降下が発生するため、端子電圧は11Vになります。
交流回路の基礎(リアクタンスとインピーダンス)
ここからは交流回路の計算です。
直流回路とは異なり、コイルやコンデンサを接続すると、周波数によって電流の流れにくさが変わります。
この性質を表すのがリアクタンスです。
特に重要なのは、次の2つです。
- コイル:誘導リアクタンス
- コンデンサ:容量リアクタンス
誘導リアクタンス(XL)
コイルは、交流の周波数が高くなるほど電流を流しにくくなります。
公式

- XL:誘導リアクタンス[Ω]
- f:周波数[Hz]
- L:インダクタンス[H]
- π:約3.14
周波数fが高くなるほど、誘導リアクタンスXLは大きくなります。
容量リアクタンス(XC)
コンデンサは、コイルとは逆の性質を持っています。
周波数が高くなるほど、容量リアクタンスは小さくなります。
公式

- XC:容量リアクタンス[Ω]
- f:周波数[Hz]
- C:静電容量[F]
- π:約3.14
周波数が高くなるほど、容量リアクタンスXCは小さくなります。
コイルとコンデンサの違い
| 項目 | コイル | コンデンサ |
|---|---|---|
| リアクタンス | XL | XC |
| 周波数が高くなると | 大きくなる | 小さくなる |
| 周波数が低くなると | 小さくなる | 大きくなる |
覚え方:
- コイルは高周波を通しにくい。
- コンデンサは高周波を通しやすい。
この逆の関係は、試験でも間違えやすいポイントです。
インピーダンス(Z)
インピーダンスとは、交流回路全体の電流の流れにくさを表す値です。
抵抗R、誘導リアクタンスXL、容量リアクタンスXCが直列に接続された回路では、次の公式で求められます。
公式

- Z:インピーダンス[Ω]
- R:抵抗[Ω]
- XL:誘導リアクタンス[Ω]
- XC:容量リアクタンス[Ω]
ここで重要なのは、XLとXCを足すのではなく、引き算することです。
計算例7:インピーダンス
問題
R=30Ω、XL=40Ω、XC=0Ωの直列回路に100Vを加えた。
インピーダンスと電流を求めなさい。
解き方
① インピーダンスを求めます。

② オームの法則で電流を求めます。

答え
- インピーダンス:50Ω
- 電流:2A
ここでは30・40・50という3:4:5の直角三角形の関係が使われています。
この組み合わせは計算を速くするためにも覚えておくと便利です。
8-4. 直列共振と共振周波数
RLC直列回路では、誘導リアクタンスXLと容量リアクタンスXCが等しくなる周波数があります。
これを共振といいます。
共振条件は、

です。
このときインピーダンスは、

となり、抵抗分だけになります。
直列共振時には、電流が最大になります。
共振周波数は次の公式で求められます。

f:共振周波数(Hz)
π:円周率(約3.14・単位なし)
L:インダクタンス(H)
C:静電容量(F)
計算例8:共振周波数
問題
L=100mH、C=1μFの直列回路が共振する周波数は、およそいくらか。
解き方
まず単位を変換します。

公式に代入します。

答え:約500Hz
mHやμFなどの単位変換を間違えないように注意しましょう。
交流の実効値について
交流の電圧や電流は、特に指定がなければ実効値で扱います。
例えば、家庭用コンセントの100Vは実効値です。
正弦波交流の場合、最大値(波高値)は実効値の√2倍になります。

100Vの場合、


となります。
試験で間違えやすい5つのポイント
ここまでの内容を踏まえて、特に注意したいポイントをまとめます。
単位の変換を忘れる
mA、kΩ、mH、μFなどが問題文に登場したら注意しましょう。
例えば、
- 100mA=0.1A
- 1kΩ=1000Ω
- 100mH=0.1H
- 1μF=0.000001F
公式に代入する前に、単位をそろえることが大切です。
並列回路で合成抵抗を足してしまう
直列は足し算、並列は逆数の和です。
特に並列抵抗が2本の場合は、和分の積を使うと計算が簡単になります。
XLとXCの関係を逆に覚える
周波数が高くなると、
- XLは大きくなる。
- XCは小さくなる。
この関係を確実に覚えましょう。
インピーダンスの計算でXLとXCを足してしまう
インピーダンスの公式では、リアクタンスの差を使います。

引き算を忘れないようにしましょう。
計算結果の妥当性を確認しない
計算が終わったら、答えが正しい範囲にあるか確認しましょう。
例えば、
- 並列回路の合成抵抗は、最も小さい抵抗より小さい。
- 直列回路の合成抵抗は、それぞれの抵抗の合計になる。
- 分圧した電圧の合計は、電源電圧と一致する。
- 分流した電流の合計は、全体の電流と一致する。
このような確認をするだけでも、計算ミスを減らせます。
まとめ:電気回路は基本公式を確実に覚えよう
工事担任者(総合通信)の基礎科目で出題される電気回路は、公式を覚えるだけでなく、どの問題にどの公式を使うのかを理解することが大切です。
最後に、今回紹介した重要公式を整理しておきます。

特に、オームの法則、合成抵抗、電力、リアクタンス、インピーダンスは繰り返し計算練習をしておきたい項目です。
最初は時間がかかっても構いません。
公式を確認しながら自分で計算し、少しずつ解くスピードを上げていきましょう。
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