
青春時代に読んでいた漫画を、大人になってから読み返すと、当時とは違った感情がわいてくることがあります。
ストーリーやギャグを楽しんでいたはずなのに、懐かしい風景や、あのころの自分の気持ちまでよみがえってくる。そんな漫画はありませんか?
今回紹介するのは、澤井健さんの漫画『サーフサイドハイスクール』です。
高校生たちのサーフィン、友情、恋愛、くだらないギャグ。そして、少年から大人へと成長していく途中の、ちょっと不器用で複雑な心の動き。
湘南の海が若者たちの憧れだった時代の空気が感じられる、懐かしい青春漫画です。
昔この作品を読んでいた人はもちろん、最近の漫画とは少し違う雰囲気の作品を読みたい人にもおすすめしたい一冊です。
『サーフサイドハイスクール』とは?
『サーフサイドハイスクール』は、澤井健さんによる青春ギャグ漫画です。
1996年から1997年にかけて、小学館の『週刊ヤングサンデー』で連載されていました。
物語の舞台は、海に隣接する高校「辻ヶ崎シーサイドハイスクール」。
湘南を思わせる海辺の街で、サーフィンを楽しむ高校生たちの日常が描かれています。
作品の中心となるのは、性格も見た目も異なる3人の男子高校生。
女好きでサーフィンの腕は一流の阿部浩也、おとなしく漁師になる夢を持つ永島康平、そして都会から転校してきた、口は達者だけれど虚弱体質の三田みちる。
この3人を中心に、学校生活や恋愛、友達とのやり取りなど、さまざまな騒動が巻き起こります。
ジャンルとしてはギャグ漫画ですが、それだけではありません。
高校生ならではの見栄や憧れ、友情、恋愛への戸惑いなど、人間くさい感情が描かれているところも、この作品の魅力です。
『サーフサイドハイスクール』のあらすじ
海の近くにある高校に通う阿部浩也は、サーフィンを楽しむ高校生。
そんな阿部が気にかけるのが、おとなしい同級生の永島康平です。
阿部は永島と仲良くなろうとしますが、どうやら永島には永島なりの考えがある様子。さらに、都会から転校してきた三田みちるも加わり、3人の関係は少しずつ変化していきます。
サーフィンが似合う海辺の高校生たちといえば、爽やかで格好いい青春を想像するかもしれません。
ところが、この漫画の登場人物たちは、そんなイメージだけでは収まりません。
格好つけたり、見栄を張ったり、異性のことで頭がいっぱいになったり。ときには妙な方向に突っ走り、周囲を巻き込んで騒動を起こします。
その一方で、友達のことが気になったり、自分の居場所を探したり、少し背伸びして大人の世界をのぞいてみたり。
そんな高校生たちの姿が、ギャグを交えながら描かれていきます。
サーフィンを通じた青春と友情を軸に、笑える場面もあれば、登場人物の心の動きに思わず共感してしまう場面もある。
それが『サーフサイドハイスクール』という漫画です。
サーフィンだけじゃない!少年から大人へ向かう途中の心
この漫画を振り返ってみると、サーフィンという題材だけでなく、高校生たちの心理描写が印象に残ります。
高校生というのは、子どもではないけれど、まだ大人でもありません。
大人のように格好よく振る舞いたい。異性にモテたい。友達から一目置かれたい。
でも、実際には思いどおりにいかないことも多い。
自分の気持ちをうまく説明できなかったり、強がってしまったり、くだらないことに本気になったりする。
『サーフサイドハイスクール』には、そんな年頃の男の子たちの面倒くささや、どこか憎めない部分が詰まっています。
大人の世界に憧れながらも、まだその世界の本当の怖さや厳しさを知らない。
だからこそ、背伸びをして失敗したり、思いがけない騒動に巻き込まれたりするわけです。
その未熟さも含めて、青春なのだと思います。
大人になった今だからこそ、当時は単純に笑っていた場面に、別の面白さを感じるかもしれません。
ギャグで笑わせながら、ときには大人の世界にも踏み込む
『サーフサイドハイスクール』は、かなりくだけたギャグも魅力のひとつです。
高校生たちのバカバカしいやり取りや、恋愛にまつわる騒動など、きれいごとだけではない青春が描かれています。
さらに、物語の中では高校生の日常から少し離れた、大人の世界や裏社会を思わせる要素に触れることもあります。
普通なら深刻になりそうな出来事も、この作品らしいギャグやテンポによって、どこか軽妙な雰囲気で描かれているのが印象的です。
もちろん、何もかもが爽やかな漫画というわけではありません。
青年誌の作品らしく、性的な話題や大人向けの描写も含まれています。
そうした表現が苦手な人は、あらかじめ注意しておいたほうがよいでしょう。
それでも、格好いい部分だけでなく、情けない部分や欲望、見栄まで含めて人間を描いているところに、この作品ならではの味わいがあります。
湘南の海が人気だった時代を思い出す
個人的に、この漫画を読み返したくなる理由のひとつが、海辺の街の空気感です。
サーフィンを楽しむ若者たち。海の近くで過ごす日常。少し格好つけたファッションや、仲間たちとの何気ない時間。
今読み返すと、湘南の海が若者たちの憧れだった時代の雰囲気がよみがえってきます。
ページをめくっていると、潮の香りが漂ってくるような気がする。
海から吹いてくる風や、日差しの強さ、仲間と過ごした夏の日の空気まで思い出すような、そんな懐かしさがあります。
もちろん、実際に湘南で青春時代を過ごした人ばかりではないでしょう。
それでも、当時の若者文化や、海辺の街への憧れに心当たりがある人なら、何かしら懐かしい気持ちになるのではないでしょうか。
漫画の舞台は架空の街ですが、そこには当時の空気を感じさせるものがあります。
今の時代の高校生を描いた漫画とは、また違った魅力です。
昔の単行本は途中で終わっていた? 完全版で続きを読める
ここで、昔からの読者にぜひ伝えたいことがあります。
『サーフサイドハイスクール』は、連載当時の単行本が5巻まで刊行されましたが、物語は未完のまま連載が途絶えていました。
続きを楽しみにしていた読者にとっては、少し残念な終わり方だったと思います。
ところが、2010年に『サーフサイドハイスクール』の完全版が全3巻で刊行されました。
この完全版には、以前の単行本に収録されていなかったエピソードに加え、描き下ろしの新作も収録されています。
そして、注目したいのが描き下ろしの最終話です。
昔の単行本を読んで、物語の続きが気になったままになっていた人にとっては、うれしい内容ではないでしょうか。
ただし、すべての謎が解けて、物語がきれいに完結するという意味での最終回を期待するよりも、久しぶりにあの3人に再会し、彼ららしい物語の続きを味わうつもりで読むのがよいと思います。
あのころの登場人物たちに、もう一度会える。
それだけでも、昔からのファンには価値があるのではないでしょうか。
昔読んでいた人には、ぜひ完全版を手に取ってほしい
当時、単行本を買って読んでいた人。
続きが気になっていたのに、いつの間にか読む機会がなくなってしまった人。
『サーフサイドハイスクール』というタイトルを見て、懐かしい気持ちになった人。
そんな人には、完全版をおすすめしたいです。
昔の単行本を持っている人も、完全版には未収録作品や描き下ろしがあるので、改めて読む楽しみがあります。
購入する際は、通常の旧単行本と間違えないように、**全3巻の「完全版」**を探してみてください。
書店で見つからない場合は、ネット書店や中古書店などで探してみるのもよいでしょう。在庫状況や価格は販売店によって異なります。
懐かしい漫画を読み返すというのは、単に昔のストーリーを追体験するだけではありません。
当時の自分が何を面白いと思い、どんなことに憧れていたのかを、もう一度思い出す時間でもあります。
まとめ:『サーフサイドハイスクール』は青春時代の空気を思い出させてくれる漫画
『サーフサイドハイスクール』は、サーフィンを楽しむ高校生たちを中心に、友情や恋愛、ギャグ、そして少年から大人へ向かう途中の心の動きを描いた青春漫画です。
くだらないことで笑い合い、格好をつけ、失敗し、ときには大人の世界をのぞいてみる。
そんな高校生たちの日常には、懐かしさとともに、今読み返しても変わらない面白さがあります。
そして、湘南の海が若者たちの憧れだった時代の空気。
海風の香りがしてくるような、あのころの青春を思い出させてくれます。
昔の単行本では物語の続きが気になっていた人も、2010年刊行の完全版なら、未収録エピソードや描き下ろしの最終話を読むことができます。
青春時代にこの漫画を読んでいた人は、ぜひもう一度、手に取ってみてください。
ページを開けば、あのころの海と、懐かしい仲間たちに再会できるかもしれません。
青春時代の音楽を聴くと、あのころの景色がよみがえる
『サーフサイドハイスクール』を読み返すと、漫画の内容だけでなく、当時の音楽や街の雰囲気まで思い出してきます。
青春時代に聴いていた曲というのは、不思議なものです。
久しぶりに耳にすると、そのころの自分や、当時見ていた景色まで一緒によみがえってくることがあります。
自分にとって、そんな青春時代を思い出させてくれる曲のひとつが、岡村靖幸さんの「Dog Days」です。
この曲を聴いていると、あのころの空気や、若かったころの気持ちがふっとよみがえってきます。
『サーフサイドハイスクール』を読んでいた人も、当時どんな音楽を聴いていたでしょうか。
漫画と音楽。きっかけは違っても、懐かしい作品や曲に触れると、忘れていた青春の一場面がよみがえることがあります。

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